冬の街にて/由比良 倖
赤い、ドライフラワーに。
2
私に会いに来る人、あれらは私の何に会いに来るのだろう、
私には私の表面しか見えない、愛され過ぎている、
私はここにいないのに。
文化には体重がある。改めて私が服を着ることが奇妙だ。
装いだけで――
3
コーヒーが来る。私は「ありがとう」と言う。
揺れる、訳の分からない場所に思える。
改めて私のいる場所を見渡すと、ここは廊下だ。
そこには、意味なんて無い。
壁に触れると、冷たさに驚く。
恐竜の骨のように冷たい。
雨。
給仕の女の子が外に立っている。
何故か私だけが雨に打たれている。
いや、私はソファーに座っているのだ
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