全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
えるのである。彼が手ぶらで考えなくてはならないような時は、問題はもう解けたと感じている時だった。
(フィリス・ゴットリーブ『オー・マスター・キャリバン!』29、藤井かよ訳)
彼の異常な活発さは、始まったときと同じ唐突さで消えてしまったようだった。
(クリストファー・プリースト『スペース・マシン』4・1、中村保男訳)
わたしは思わず息を呑み、その拍子にアメリアの長い髪の毛を何本か吸いこんでしまったことに気づいた。途方もなく気を散らせるこの時間旅行の最中でも、わたしは、このようにこっそりと彼女との親密さを味わう瞬間を見つけていたのである。
(クリストファー・プリースト『スペース・
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