全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
 
努めた。新儒教の心には、宇宙の法則はこの現象世界には映らなかったが、この現象世界がすなわち宇宙の法則そのものであった。永劫(えいごう)はこれただ瞬時──涅(ね)槃(はん)はつねに掌握のうち、不朽は永遠の変化に存すという道教の考えが彼らのあらゆる考え方にしみ込んでいた。興味あるところはその過程にあって行為ではなかった。真に肝要なるは完成することであって完成ではなかった。
(岡倉覚三『茶の本』第二章、村岡 博訳)

 茶道の要義は「不完全なもの」を崇拝するにある。いわゆる人生というこの不可解なもののうちに、何か可能なものを成就しようとするやさしい企てである。
(岡倉覚三『茶の
[次のページ]
戻る   Point(11)