全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
 
み、ぼくがあの島に求めていた平穏が乱されるのを拒否したことであろうか? (…)
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)

 だがおれは電話をしなかった。他人の人生を少しだけましなものにできる、ほんのちょっとしたこと。あのときもそれをしなかった。
(マイケル・マーシャル・スミス『スペアーズ』第一部・5、嶋田洋一訳)

 おれは待ちつづけた。煙を吸い込んでは吐き出し、今聞こえる悲鳴の中に、かつて耳にしたたくさんの悲鳴の残響を聞きながら。
(マイケル・マーシャル・スミス『スペアーズ』第二部・12、嶋田洋一訳)

それは別の場所に存在する、別の森の木々だった。
(マイケル・マーシャル
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