全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
ゴォーン! 一万の青銅の銅鑼がいちどきにたたかれて一つの音に凝縮した。高台の家々の庭で、谷間の都市で、カラファラ人たちは一家の銅鑼を鳴らして太陽との別れを知らせる。一つにとけあうその音は青銅の鳥のように舞いあがって、その翼の羽音がホテルを揺さぶり、窓々をふるわせた。
(フィリップ・ホセ・ファーマー『気まぐれな仮面』4、宇佐川晶子訳)
その向こうにはわかりやすい情景がまた一つ。
(フィリップ・ホセ・ファーマー『気まぐれな仮面』3、宇佐川晶子訳)
嘘にはそれなりの美しさがある。それなりの生命と整合性がある。
(リチャード・コールダー『デッドガールズ』第四章、増田まもる訳)
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