全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
 
のがまだあるなどと思ってはならない。私たちが正確なことばで語ることは、まれである。多くの場合、不正確な表現を用いている。それでもいわんとすることは通じるのです。
(アウグスティヌス『告白』第十一巻・第二十章・二六、山田 晶訳)

いったい時間とはなんでしょう?
(R・A・ラファティ『秘密の鰐について』浅倉久志訳)

 時間とは何だろう。子どもが時間を経験するとき、それは何の意味も持っていない。子どもは舞台裏で何が進行しているかなど、ほとんど、あるいはまったくわからない。だから何かが起きたときには、それが突然起きたようにしか思えない。もしきみがまだ幼すぎて、灰色の雲がやがて降る雨を意味す
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