それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
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みじかい階段をあがって入出庫のホームを歩き、その半ばにあるエレヴェータにみんなと乗った。ぼく、フロア主任、香水の臭う長身の男、年増女、そしてかの女と。2階での持ち場に就いて、まずは棚づけを始める。室いっぱいに棚が並び、そこには照明器具の部品がある。どの商品を、どこに置けばいいのかがわからない。棚番はめちゃくちゃだ。もちろん先出し、後出しもある。棚に入らないものは床に置くしかない。主任は急かす。早くしろ、早くしろ、早くしろ。午后ちかくになって今度は伝票が来るのを待った。出庫作
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