リトルブレイン/おまる
ている。のみならず皆疲れてもいる。そんな人々が、小さなテナントの中で黙って鮨詰めになっている。おいもわかきも、おとこもおんなも、こういうのが、雰囲気なのだろう。そうだ、雰囲気とは、場所からではなく、人から発せられるものだ。ヘトヘトに疲れているから、目をつぶった瞬間、もう朝になってしまう。店を出て、或るカフェに入った。何の変哲もない、トーストとコーヒーを頼んで、出されるのを待っている間、壁に飾ってある絵を見ていた。
額縁にはミロとピカソ、共に西班牙の画家、のポスターが飾っていた。それとデュフィ調の明るい、安定した構図。一時の安堵を感じながらも、これが「東京らしい」雰囲気であるとは思わない。それ
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