マッスルドッグ/歌留多カタリ
 
火を?み込む邪心が人の無心を焼き尽くす
風を嗅ぎつける者が遂に世界を弄滅させるまで

憂いを食べつくす言葉を放つたびに
オレンジ色の首飾りが
似合っている少女の瞳に映り込む
この時間を流れる戦場の兵士の血
ピックアップトラックの荷台から播かれるパンに
群がる無数の手の爪垢を
世界の誰ひとり見ていない

地底から沸き上がる叫び声に聞き耳を立てる
世界とは揺るぎなき重根を這わせる大樹として
立ちあらわれるべきものであったのに
絶望的な夢に赤く濡れた憤怒に抗う
言葉でさえも今は
霧に隠れる七つの旗の
励ましにすらならない

泳ぎを忘れた子どもたち
夜の小石を震わせ
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