My Enemy/ホロウ・シカエルボク
わってたら声でもかけてみようかなと思うかもしれないけれどね、ともかく俺はまた裂けめに落ちる、どうやらもとの世界に帰ってきたみたいだ、どうしてそう言い切れるのかって?もともと読んでいたのと同じ本を読んでいたからさ、それだけのことだった、それだけのことだったんだ、どんな感想もそこには存在しなかった、帰り道にいつもと違う道を通ってみただけ程度のことだった、ほんのわずかなズレは続いた、朝、仕事の準備がほんの少し早い気がする、トイレに籠る時間が少し長い気がする、横断歩道を渡る時の歩幅が数歩少ない気がする、そんなことを気にするのはおかしい、もちろんそう思うだろう、でも何故か俺はそれが凄く気になった、気になった
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