【わが短歌・俳句入門】<女性歌人と海>/藤原 実
水原紫苑(S34〜)
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もう俵や水原になると海よりも貝殻や魚のほうにじぶんを同一化している。海に抱かれる側になっている。「愛する」よりも「愛されたい」というところでしょうか。そういえば、『愛される理由』というベストセラーがかつてありましたが、心理学者の秋山さと子は、あれが「愛する」理由ではなくて「愛される」理由であるところをモンダイにしなければならない、というようなことを言っていたと思います。そしてあの本を書いたひとも確かこの世代の女性ではなかったでしょうか。
最後に四十年代生まれのふたりの女性の歌。
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八月の吾が入り江にぞ並みゐたる
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