【わが短歌・俳句入門】<女性歌人と海>/藤原 実
 

                         大西民子(T13〜平成5)


冬の皺よせゐる海よ今少し生きて己れの無惨を見むか
                         中条ふみ子(T11〜S29)


と中条は詠んでいるが、あるいはその「無惨」を見たのでしょうか、



未婚の吾の夫のにあらずや海に向き白き墓碑ありて薄日あたれる
                         富小路禎子(T15〜)


と、生きているのにお墓に入ってしまった人もいます。「未婚の吾の夫」というのは、たぶん「じぶんの人生で出会えなかった何か」の
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