【わが短歌・俳句入門】<女性歌人と海>/藤原 実
同世代である葛原妙子の回答から見てみます。
時計店にあまたの時計海に向きただにま青(さを)なる晴に刻めり
葛原妙子(M40〜S60)
時計店のショーウィンドウに海がひろがっている。ここでは海は時をはらんでいる永遠の象徴です。これも鮮やかな世界です。
一方、大正生まれの歌人はなんだかクライ海です。
風おちて鈍き海波ゆられつつ終末海を鳥がついばむ
安永蕗子(大正9〜)
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渇きたる砂に半ばをうづもれて貝殻はみな海の傷持つ
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