【わが短歌・俳句入門】<女性歌人と海>/藤原 実
 
でした。これを読んでぼくがすぐに連想したのは有名な、



白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて待たう
                         斎藤史(明治42〜)


という歌でした。斎藤史が待っていたものは何だったのか?今野の歌は斎藤の提示した問いかけに対するひとつの回答のようにも思えます。
曇っていたガラス窓を拭くと外にひろがる冬の海が見えた。そのとき不意に海鳴りが響いてきた・・・・・・。まるで映画のワンシーンのようで、鮮やかです。


{引用=
果物舗(や)の娘が
桃色の息をはきかけては
せつせと鏡をみがいてゐる

澄ん
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