I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
 
が考えている思い出は、じつは、「創作」なのではないかというふうに思ったのである。純粋な現実というものがあるとしたら、それは、自分の脳みそに保存されている無意識層を総動員してもけっして再現されないということなのだと思い至ったのである。「思い出とは、創作である。」


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と、切に思ったのである。しかし、真実には触れているとは思う。虚偽というか、創作を含みはするけれど、自分の人生の真実にも触れているとは思う。そうでなければ、真実など、どこにも存在しないだろう。もしかすると、どこにも存在しないものかもしれないが、存在するという幻想は


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もちたい。というか、
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