I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
か、もって生きていると思う。ぼくの人生は、行き当たりばったりで、ひとというものの人生としては失敗である。ひとを愛する能力に著しく欠けた出来そこないのものである。だけど、せいいっぱいできることはしたと思う。能力がまずしいので、恥ずかしい生き方だが、
〇
そんなダメな人間でも、神さまはまだ生かしてくださっているのである。生きているかぎり、自分のできうることをすべてしたいと思っている。
〇
思い出が創作ならば、記憶もまた創作であろう。いや、記憶は創作である。そう断言できる。偽の記憶がいくつもある。こどものころの記憶を親にきくと、そんなことは一度もなかった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)