「文学極道」への弔辞(再校正済み編)/室町 礼
峡を
きょうも汽笛が遠ざかる
海峡ってものを歌うときにどうして冒頭に「背伸び
して見る」が来るのか!? どうしてこんな凄いこ
とばの選択が出来るのか。これが「ポケットに手を
いれて」でもなく「しゃがんで」でもなく「タバコ
に火をつけて」でもなく「背伸びして見る」が冒頭
にくるとこの世界は無限に広がる。大人ではなく少
年だったの? とか、少年の前に堤防があったのだろ
うか? とか、結局、船は見えなくて音だけ聞こえた
のだろうか? とか、あるいは「背伸び」が比ゆで
あって「待ち詫びていた」心模様をあらわしている
のだろうかとか、そればかりでなく
この行だけですぐにたと
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