「文学極道」への弔辞(再校正済み編)/室町 礼
 
のへの眼差しとその現前化はない。これがないとわたしにはど
うも読む気が起こらないのです。つまりここでも言葉の選択と
それに必ずともなう転換がない。リズムや比ゆのようなものを
評価するとしても要するにあまり詩の言葉とし
て価値があるとはおもえない。
それが詩の現在だといえばそれに対してことばないですけど。
たった一言「過去」という言葉だけに数ヶ月も悶々とする作詞
家の格闘する真剣さ(裏を返せば文学への面白さ)があまり感
じられない。入沢康夫でも吉岡実でも難解なことばのわりに心
を掴んだ。説明文じゃなかったから。
そういう意味では文学極道では例外的に田中宏輔さんのは感覚
的な一種
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