吠えるよりも先に噛みつく場所を決めておけ/ホロウ・シカエルボク
ば、それはまるで鎖に繋がれた犬だ、そんな暮らししか知らないなら、そこから何処にも行けることはない、ほど近い限界の中で暮らしているものたち、一見それは強固な檻のせいであるかのように見える、でもその檻を開けるのに鍵も破壊も必要無い、外の世界を見たいとだけ思えばいい、それだけで自由になれる、そしておそらくは中に居る誰もがそのことを知っている、では何故そうしないのか?それは怖いからだ、極小の基本的な価値観から離れて、何の保証もない概念の中を歩くのが怖くて、不安で仕方が無いのだ、だから、すべてを理解した上でその中に留まっている、そうしていつしか忘れていくのだ、自分がその中で暮らすことを敢えて選択したという事
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