苦しむなそして止めなくてもいいが悲しむ必要はない/杉原詠二(黒髪)
 
わたしは苦しんだ
あの人は悲しんだ
持ち場が違ったんだ
荒っぽいことはわたしたちがやる
愛することはあの人たちがやる
わたしたちはどんな苦しみにも己を忘れずに耐えぬく
あの人たちはどんな悲しみと涙の中でも己を忘れず人に微笑んでみせる
わたしの煩悩が幾重もの苦しみを生んだ
あの人の孤独が際限のない悲しみを生んだ
わたしたちはお互いを欠いていたんだ
一緒になるとき
幸せは成就する

冷える夜になったら思考をすまして
試みに考えてみよ
苦しみを終えたときその苦しみが何だったのか
悲しみを過ぎたときその悲しみの貴さがどれくらいか
いつか分かるだろう

人として生きて行
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