COME TOGETHER。/田中宏輔
。唇ではなくて、口づけというもの。一つの唇では現出しない現象である。二つの唇が存在して、なおかつその
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二つの唇が反応して現出させるもの。口づけ。これを、ぼくは、詩になぞらえて考えてみることにした。作品を読んで読み手のイマージュとなるもの、それは、あらかじめ書いた者のこころのなかにはなかったものであろうし、また読んだ者のこころのなかにもなかったものであろうけれども、
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読み手が書かれたものを読んだ瞬間に、書き手のこころと交感して、読み手のイマージュとして読み手のこころのなかに現出させたものなのであろうから、書く行為と読む行為を、唇を寄せることにた
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