詩の水族館/ハァモニィベル
 
人は仲良く一緒に昼飯を食べた。
        *  
いちばん大きな淵に出くわした時にはもう陽が傾いていた。
男はまた皮粕を入れた。木の枝を持って水の中を掻きまわした。
青暗く沈んでいた淵の水が急に動きだしたかと思うと大きな魚の背が見えて
人間ほどもある鬼魅(きみ)悪い大岩魚が腹をかえして音もなく浮んだ。
「あの坊主の云う通りやめておったら、こんな魚が拝めるけい」と、得意そうに
その夜、男がその大魚の腹に庖丁を入れると、…そこから
今日、怪しい僧に別けてやった、あの昼飯が出てきた。〈貢太郎〉




太古から枯れない泥沼の底の主、山椒魚
夕暮、曉に、淡くほの白い
[次のページ]
戻る   Point(6)