詩の水族館/ハァモニィベル
った入道雲も輝く、空も輝く、海に遊ぶ人も輝く。
秋の海は、夫を失った夫人のたたずまい
冬の海は、頑なに黙っている。かと思うと、時たま心底怒りを発して怒号する。
高波のしぶきは、瞬間の幻のように岩にくだけ、光を噛んでそそりたつ。
春秋の海底には、かぞえ切れない魚類の世界がある。
潮の流れにのって移動する魚群
波をけって海上に飛翔する魚たち
深いところに住む魚たち、浅いところに住む魚たち。
泳いで生きる魚たちばかりではなく、
海底の砂にも、岩にも、生きものはそれぞれの場所を占めて居をかまえている。
あわびは、ぴたりと岩にすいついている
この執念ぶかい執着をも、はがす奴
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