詩の水族館/ハァモニィベル
 
す奴がいる。
  たとえば、タコである。
坊主あたまを斜めに泳がせてあわびに近寄る。
その足で、あわびの穴窓をすべてふさいでしまう。
あわびは、息ぐるしくなって、そっと体を岩から離さねばならぬ。
早速坊主はあわびをさらっていって、御馳走になる。
  タコの住まいのまわりは、おびただしい貝がらの城壁でかこまれている。
  貝がらの城壁の中に、いい気持ちで眠っている生ぐさ坊主
  それを知る大きな魚が、突然これをおそって食らう
強いものと、弱いものの戦いは、終ることなくつづけられている
暗い暗い光のとどかぬ深海には、
  体から光を発して、ゆうれいのようによぎる魚
  頭の先に
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