詩の水族館/ハァモニィベル
 
想像してみて欲しい。
想像を絶した奇怪な姿のものが蠢めいているのだ。〈宇吉郎〉




海にもぐつて
心臓の音をきいてゐる
盲目の深海魚がアハハと笑う
ゴミ箱を漁つてゐる犬が
君を殺した
――魚の腸(はらわた)をくはへ出したぞ。と〈久作〉




海に坐つて僕は食ふ
海の世間に向つては 口を大きく見せるんだ
海を引き裂く船舶類 
非文化的な文明が 現実すぎるほど群れてゐる
むんむんしてる地球にばかりすがつて〈貘〉





春の海はひねもす のたりのたり
夏の海は輝き渡る。つよい太陽の光をはねかえし海も光るが、
沖にもくもくと盛り上った
[次のページ]
戻る   Point(6)