どうせ迷うなら命を賭けて/ホロウ・シカエルボク
 
普通のスニーカーでも苦労した、土が浅く根が横に広がっているせいで油断しているとすぐ足を取られてしまう、といって足元ばかり気にしていると横に張り出した枝に顔をはたかれる…なるほど、噂通り、そういえば、こういうところにも実の生る木があるのかな、とふと思った、あれはもしかしたら誰かの最期の食事だったのかもしれない、そんな考えが浮かんだけれど別にそれで震え上がるということはなかった、そんなことで怖がっていたらここで引き返すほうが賢いだろう、といって、もう引き返せないところまで来ているのかもしれないけれど―実家に置きっぱなしになっていた母さんの車で人気の無い入口を選んで入ってきたからまず見られては居ない、車
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