暑い夏の記憶から─南京大虐殺物語について─/室町 礼
勢のいい男たちが
広場の中心に出された肉牛を次々に競り落としていく。わたしの仕事は
フックにかかったでかい牛をただ押していくだけの単調な作業
でした。一日に二百頭から三百頭ほど扱ったでしょうか、
仕事は午前10時までに終わるのですが、そのビルの二階にゆくまでに
豚やニワトリなどさまざまな動物が殺されるのをみる。
豚も牛も銃で鉄銛のようなものを眉間に打ち込まれて
悲鳴をあげてのけぞり、一発でした。
たぶんそのあと電ノコで真っ二つに斬られるのでしょう。
一番嫌なのはプールです。
学校にあるような25メートルプールより大きい
プールに、殺された動物の血が貯められていました。
製薬
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