running water/ホロウ・シカエルボク
と思えなくもなかった、でも偶然と呼ぶにはあまりにも揃い過ぎていたのだ、それが多分引っかかっているのだ、それが御膳立てというイメージに繋がってしまっている、だから俺はしばらくの間その音について考えた、部屋中を歩き回ってその原因になるようなものが見つからないかと試してみた、でもなにも見つけることはなかったし、もう一度その音が聞こえるようなこともなかった、あれはもしかしたらもう二度と聞くことが出来ない音なのかもしれない、そう思うともう一度聞いてみたくてたまらなくなった、その音に話しかけたりまでした、もう一度鳴ってくれないか、と―しばらくの間耳を澄ましていたがやはり二度と鳴ることはなかった、もう駄目だ、二
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)