雄弁で曖昧な結晶/ホロウ・シカエルボク
だ、先行きは出来るだけ不安であるべきだ、でなければ人は打ち勝とうとしない、適当なところで落ち着いた自分を慰めながら生きていくなんて御免だね、未来に挑めなければ過去を舐めるだけの暮らしになる、まあ、あれこれ御託を並べたけれど結局のところこれは一言で片づけられるんだ、その方が楽しいってね、常に先を探しながら歩いていると、目的の方からもこちらへやって来てくれるんだ、やあ、ありがとうと俺たちは悪手を交わし、新たな同盟を結ぶ、そうやって日々は更新されていく、もっと行ける気がするんだ、昔考えていたよりもずっと先のところへね、そっちから誰かが俺を呼んでいる、俺より先に死んだ誰かかもしれないし、俺たちよりもはるか
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