真っ当な鎮圧/ホロウ・シカエルボク
 

錆びついた傷口に噛みついた自我が、身体からぶら下がり血を垂らす、内側から炎で炙られるような痛み、それは現実とも言えたし、質の悪い夢とも言えた、どちらかに決めるか決めないかは俺次第で、いつだって結論は投げっ放しだった、イメージは時に現実を殺す、「今あなたの指に傷をつけた」と目隠しをした人間に告げて、水が滴る音を聞かせ続けたら死んだという実験の話を聞いたことはないか?俺はそれを聞いたとき、ああ、やっぱりな、と思った、人殺しに証拠を残すような人間は阿呆だ、強烈なイメージによって人間は簡単に死ぬ、とは言え、俺はそれを誰かに向けようと考えたことはないがね、俺の内奥で蹲ってるそいつは猛烈な混沌の羅列として
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