わたしの場合毒虫ではなく/ただのみきや
 
に位置するところ──透明なプランクトンの抜
殻のような 非在の 形を失った 記号の幽霊やことば
の幼生体 今だ像を結ばない微細で無尽蔵の透けたもの
たちが 時に密に時に希薄に潮流や気流に漂うように蠢
いている ああ それら ───思春期に薬物によって
得られる幻覚の楽しみとその後続く恐怖の連続を経験し
たわたしには今でも一点を見つめていると透明で不確か
な何かが見つめている対象の周りで陽炎のように揺らい
だり激しく渦巻いたりしているのが見える 気がしてい
る そんな個人の感覚 幻覚というよりは錯視錯覚──
──つまりわたしは風の中あるいは澄んだ小川の流れに
ペン先を浸している
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