原子論/fujisaki
みんな飛んでいる。赤黄緑紫、原色の鳥たち。ペイントで塗りつぶしたような青空に羽ばたく。僕は隣で落ちる。空の青が僕を通過する。痛い。痛い。雲をつきぬけたい。白く濡れたい。星が僕を欲しがっている! 手をのばせば、指と指の間を流れる(のは地球?)ではなくて、くちばしからしっぽまで原色の青い鳥たち。ひつじ雲が一様に同じ高さでとまっている。その高度には立つことができるらしいね。落下地点でアリが行進する。右の手足と左の手足をそろえて交互に。一斉に。そのすぐ横、公園の、雨上がりでじめじめしているツツジのかげで土のにおいと一緒に僕は発見する。16年も土にいる、僕と同い年のセミ。地上に出てくるのはとっても嫌だったよ
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