水中に居ると何かを思い出せそうな気がする/ホロウ・シカエルボク
 

お前の臓腑の中で冷たく湿った夢に溺れたい、外気温はウンザリするような数値を示しているだろう、でも俺はそれを確認したくない、もしも俺が銃であれば二度と目にすることも出来ぬくらい綺麗に破壊するだろう、でも俺は無駄な機能の多い人間だったし、弾丸の持ち合わせも無かった、だから水を張ったバスタブの中で愚痴を並べるくらいが関の山だったのだ、水はすでに生温くなっていた、それは俺が欲した温度ではなかった、でも水温を望みのままに保つには現実問題として不可能だったし、こんな温度になっても何もしないで部屋に座っているよりはずっとマシだった、だから俺は多分もう一時間以上はそうしていた、時刻は多分正午を少し過ぎた辺りの
[次のページ]
戻る   Point(10)