初雪/山人
朝方は雨に近いみぞれだったが、いつのまにか大粒の牡丹雪となり
真冬のような降りとなっている
誰にけしかけられるでもなく、雪は味気なく空の蓋を開けて降り出したのだ
すべての平面が白く埋め尽くされる前のいっときの解放
空間が大木の樹皮に触れるとき、水気を失った葉がさざめく
観る人の感傷を骨にしみこませるように、晩秋の風は限りなく透明だ
山が彩りを始めると、人々はこぞって目を細め
その色合いを楽しみに山域へと繰り出す
さまざまな出来事を、はるか彼方の空に浄化させ
廃田に生える枯草のように佇む老夫婦がいる
車は寂れた国道の脇に停車され
すでに水気を失ったススキはかすかな風
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