時間に色は無い/ホロウ・シカエルボク
 

蝙蝠どもがイラつきながら宵闇を殴打する頃、俺は早い睡魔の中で人を殺める幻を見ていた、時間は輪転機を思わせる忙しなさで過ぎ、なぜか無性にカップベンダー自販機のブラックコーヒーが飲みたかった、ハナからどんなラベルもない一日に付けるタグなどあるはずもなく、身体はひたすらひととき肉体を忘れようと目論むばかりだった、ドッケンだかスキッドロウだか…プレイヤーにはそんなディスクが入れっぱなしで再生され続けていた、先週までの寒さが嘘みたいに暖かい午後だった、そのまま眠ってしまっても文句を言うものなど誰も居ないのに、俺は睡魔に抗い続けていた、昔からだ、穏やかさに身を任せることを不安に感じてしまう、俺が人生に求め
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