離散家族/栗栖真理亜
 
小さくちぎった新聞紙
丸めてバケツの水に浸す
指先から冷たさが伝ってきた
「新聞紙で窓を拭けば、綺麗になるよ」
そう教えてくれたのはかつてお世話になった教会牧師の奥さんだった

年末が近づくと「日曜礼拝の後は決まってみんなで掃除」だった
一階の集会所や二階の礼拝堂からは掃除機の音や楽しげな声が聞こえ
何だか賑やかだった
子供ははしゃぎ大人たちもそれにつられて笑顔となった

兄弟姉妹という枠組みでまるで家族のような関係
赤の他人同士が世代も生まれ育った環境も超え
ひとつとなっていた

牧師夫婦が引っ越してから新しい牧師が就任して
以前は許可されていたはずの駐輪自転車に
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