人格と世界観4/ひだかたけし
「自分と自分自身との関係、並びに自分と外の世界との関係、この二つの関係が共に分かったとき、私はその関係を真実と呼ぶ。
だから誰でもが銘々の真実をもつことができ、
しかもその真実は同じ真実なのである」(ゲーテ『散文の格言』)。
ゲーテはこういう考え方をしていた。
ひとりの人物が持ちうる真実だから、硬直した、生気のない概念系なのだ、というのではなく、
真実とは人間精神がその中で生きている海なのであり、
多種多様な波をその表面に現しうる生きた海なのである。
「理論そのものは何の役にも立たない。
理論は様々な現象の関連を教えてくれるときにのみ意味を持つ」
とゲーテは言う(『散文の格言
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