夢のあと/栗栖真理亜
 
ッ―ー……!」
僕もそれに連動するように解き放ち、彼の腕のうちで果てた。

「あ〜あ、床、汚しちゃったな。悪いけど、そこ拭いといてくれ」
お互いの欲望を放出し尽くした後、タツミさんはさっさとシャワールームへ消えてしまった。
僕は床に踞りながら、もう黙り込んだままのレコーダーと欲望の残滾とを焦点の合わぬ目で見つめ、考え込む。
(このままヤられっぱなしでいいのか……僕は)
いや、良いわけがない。
僕は打ち消すように部屋の隅にあった雑巾を手に取ると、悪夢の残骸を拭き取る。
そしてレコーダーを手に取ると、ジーパンのポケットに無理矢理捩じ込み、傷む体を引き摺りながら、そっと稽古場を脱け出し
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