AI――詩人と詩の終焉――/鳥星
 
全ての詩集が翼を広げ
永遠の空の彼方へ飛び去ったとき
飛び降りた詩人たちの
血だまりがひしめき合い
詩人たちの巨大な墓標
と呼ばれる高層ビルの根元を
群れた無数の血だまりが包み込み
突き放すようなコンクリートの壁を
下から上へと力強く登り詰めてゆく

屋上には
自分の詩を空へ放とうとする
一人の詩人が立っている
彼は叫んだ
AIの進化によって
誰でも詩を量産できるようになった
人間の芸術や自己表現が無価値化されてゆく
この無味乾燥な世界の中で
誰もが詩人であり
誰もが詩人でなくなった
この新しい時代に向かって
何度も何度も叫んだ
忘れられた詩の熱い魂よ
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