日記(思うこと)/由比良 倖
に時計屋に行き、父が夜寒いからと言うので毛布と布団を乾燥機にかけ、父がご飯と言えば全部用意して、上着が無いから寒いと言えば二階まで取りに行き、それで父が言った言葉と言えば、腕時計の汚れが全部取れてないだの、昨日は寒くて寝られなかっただの、寝不足のせいで仕事がしんどかっただの、もっと美味しいものが食べたいだの、書類は不備が無いか、ちゃんと確かめたか、だの、本当にそんなことばかりだ。
だから僕は「何かをしてくれたら、ありがとう、だよ」と言っても、「ああ、助かった」のひと言だけだ。あんまりだと思う。言葉は愚痴や指図や文句の為にあるんじゃない。気恥ずかしくたって、お礼は言った方がずっといい。ただ少し、
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