日記(思うこと)/由比良 倖
めて、息をしてないからと人工呼吸をしてくれた。父は僕の血液検査の結果を見ては、この数値が高いの低いのとうるさいし、ほっといてくれと思っていたけれど、確かに僕の身体を、僕よりずっと強く心配してくれている。僕は自分の身体なんてぼろぼろになって死ねばいいと思っていたのだけど。
でも父は、母にあれこれと指図するのに、母にねぎらいの言葉も、お礼も一切言わない。どちらかが死ぬときになってでは遅いのだと思う。言わなきゃ分からない。死ぬときになってお礼を言ったり(言う時間があればまだいい)、相手が死んでからでは遅いんだよ、と思う。
昨日も母は、父が書くはずの面倒な書類を代わりに書いて、父の腕時計を直しに時
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