日記(思うこと)/由比良 倖
り僕はこの世界が好きだ。ろくでもない僕だし、しんどくて、もう嫌だ、とばかり思っているけれど、自己嫌悪はしても、僕以外の何もかもを嫌いになんてなれない。素晴らしいものもいっぱいある。美しいものもたくさん。仮に死ぬとしても、ひとつだけ、僕がこの世界を否定して死んだとは、誰にも思って欲しくない。
昨夜、父に「僕は父さんのおかげで生きてこられた。父さんが僕を見捨てずにいてくれて、ずっと僕を信じてくれているから」と言ったら、父はひと言だけ「そりゃそうだ」と何でもないみたいに答えてくれただけだった。数年前に、僕が衰弱して、両親の前で倒れたとき、母は慌ててただけだったけれど、父は即座に僕の心拍を確かめて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)