大阪文学学校の思ひ出 ─続・大阪文学学校体験記─/室町 礼
 
れていた。
それにわたしの考えではおそらく彼女らはかつて出会
ったこともない異次元の世界から来たわたしの発想や
モノの見方に興味と関心をもっただけなのだ。お館に
閉じ込められていた令嬢が館を抜けだしてフランス料
理ではなくお好み焼きやかき氷を食べたときの新鮮な
驚き。それがわたしにあったのかもしれない。そうで
なければ彼女らが文学学校に来た意味がないではない
か。
そういうことは小説の講師ならすぐに見抜ける人心の
初歩の初歩であるはずなのに、まるで興行場の珍奇な
動物を見るような目で人を見るなど、ここの講師は下
の下だと思った。

三年目になってわたしは上級の詩のクラス
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