ハイパーソニック。まぶしくて、くらい、ハイパーソニック。/竜門勇気
街道沿いに流れている川の周りでは小さなビルが
うなだれたまま冷たくなった廃墟を眺めている
公平な爪が選ばれたビルをついばむ
粉塵に慌てふためいて浴びせられた水のしずくのむこう
太陽かなんかの光が眼鏡の向こう側で虹のまがい物になって
スペクトラムの端っこから端っこから端っこまで
まるで奇麗なもののように振舞っている
ふざけんじゃねえよ、ふざけんじゃねえ
星にしゃべるように自分と夢におちる
今までは美しいと思っていた虹の中で
誰かと歩いてく
珍しく少しだけしか酔っぱらっていなくて
どこかで転がり落ちた痣が痛むわけでもない
何てすてきな日なんだろう
秋が始まって夏
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)