銀河の動脈/船曳秀隆
らそっと離れていった
嗚呼 私だけが宇宙から抜け落ちている
そしてその私だけが
誰も届かない場所で
宇宙からはぐれた孤独の力で詩をしたためた
いいえ
誰にも伝えるつもりは無かったんだよ
一瞬 宇宙に重なったこと
私の筆が初めて宇宙に触れたこと
私はこの部屋で
詩にした自分を宇宙に捧げた
私だけが時間から抜け落ちている
この場所で知ったこと見つめたことを詩に記そう
数十年後の自分が
この詩を救ってくれるかもしれない
数百年後の誰かが
この詩を救ってくれるかもしれない
そんな些細な希望を
一日一日 頁をめくっては 宛ても無い詩に
縋りつくよう
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