銀河の動脈/船曳秀隆
ように託している
詩だけが世界へと這い上がるように
一歩一歩よじ登っていく
私はノートを詩に染めた
頁の狭間は宇宙空間の歪みのようだ
その果てにはブラックホールが在るのだろうか
詩だけが宇宙へと這い上がるかのように
一筆一筆紡ぎ出されていく
いずれ私はすべての私を忘れ去るだろう
人類の雪が降りしきる中
詩の傘のみが守ってくれるだろう
どんな吹雪の中でも
そして 密やかに世界に溶け込もう
もし この日を思い出す日が訪れたなら
この詩を読み上げて
ついにこの日の詩が救われたことを
私に一語一語伝えよう
誰もいなくなった遥か銀河の雪原で
全てを悼むように
私は宇宙に詩集を手放した
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