ホロウ・シカエルボク氏「喪失というものにかたちがあるとしたら」を読む/朧月夜
まいます。「喪失」──そこに、読者は愕然とする思いを見ても良いのです。そしてまた、「かたちがあるとしたら」という希望を読み取っても良い。作者は決して読者を説得しようとしてはいないし、読者が作者に魅せられたからと言って、彼のような表現を、また自分らしい表現を出来るわけでもない。これは、ホロウ・シカエルボクという一詩人における「ガリア戦記」なのだろうか……。
「血」「血」……なぜ、作者は自らのうちに滾る血についてこれほどまでに語り、リストカットで流されるような<偽物>としての「血」を軽蔑しているのか。それは多分……読者の思いと想像に任せたほうが良くって。
この作品「喪失というものにかたち
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