一、二の散詩。冷え切った老廃物としての我が思考の塊の断片/鏡文志
 
れ。ポールマッカートニーとウイングスの『ジェット』で、青空高くまで思考の羽根を羽ばたかせ、この狭い世界いっぱいにロケットを飛ばす。その高揚感と実験精神。言葉は際限なく流れ、調整の壊れたお喋りのように、バッハさえもまとめきれずに、乱れたピアノの音階のように、官能と悲しみの雄叫びをあげて唸り吠えるが、その狼の鳴き声を聞き、とどめる現代におけるベートーヴェンの楽譜が、手元には見当たらない。狂い切ったラジオ。真実の報道の出来ぬ役立たずのラジオが、くだらないおしゃべりと深夜の乱れた下ネタに興ずる時、ムンクの叫びの絵の主人公が『聞きたくない』と嘆きの声で耳を塞ぐのを私は鹿となり、牛となりて『モー』見届けた。
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