途上の瞬間/ひだかたけし
薄雨の
降りし今日の
我が身を包む
涼風ふわり
ふんわり漂う
虚しさ何故か
胸奥を覆い
かさこそかさこそ
揺れる想い
魂の力を得んと
心の悶え震えながら 、
向かい喫茶に灯された暖色橙の明かりの懐かしさ
過ぎ去り消えゆく記憶を遡行させながら
忘れ去られた大切な場所
呼び交わし霞む朝靄の
辺り一帯に真白くうねる
浜に立ち聴いた夜明けのさざ波
打ち寄せる向こう遥か広がるミルク色の
茫洋とした海 天使の宙に舞う様
呼応し合う時のやはらか
しずかさにほひ にほひ沸き立ち
到来する一度切りの時の炸裂
固唾を呑んで見守って居ると
見えるもの見えないもの
す
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