青虫/木屋 亞万
りかじりながら進んでいきました。どうやらキャンディーは舐めて溶かしながら味わうものだということに気づいたころには、食べ終わりを示す棒にだいぶ近づいている頃でした。青虫はこんな甘さをぎゅっと固めた食べ物があったのかと驚きました。
さくらんぼパイ。
そろそろフルーツの甘さが恋しくなってきた青虫の目の前に、まだ見ぬ新しいフルーツが現れました。パイになったさくらんぼです。これまで食べたどの皮よりも、あまく香ばしい生地。そしてそこに包み込まれたさくらんぼは、今まで見たことがないくらい甘く味付けされています。その姿はドレスを来たフルーツと再会したような気分がして、青虫は自分の心が驚きと感動で震えて
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